温泉を掘る  温泉を掘っている。  決して皐月賞でロジユニヴァースから勝負して完敗したからではない。  まだ温泉を掘っている。  決してダービーでアンライバルドから勝負して玉砕したからではない。  まだまだ温泉を掘っている。  決して安田記念でカンパニーから勝負して炎上したからではないのだ。  まだまだまだまだ温泉を掘っている。  決してスプリンターズSでシーニックブラストから勝負して終了したからじゃないよ。  もうありえないくらい温泉を掘っている。  決して秋華賞でレッドディザイア−ブエナビスタの馬単を腰抜けるほど買ったからじゃねぇって。  希望を胸に温泉を掘り続けている。  決して菊花賞でリーチザクラウン一頭軸の三連複総流しで借金こさえたからじゃない!  諦めという言葉を辞書から削除して温泉を掘り続けている。  決して、天皇賞(秋)でシンゲンから一世一代の大勝負をして失禁したからではない。  こうしてもう半年以上温泉を掘っている。  温泉が噴出す気配は微塵もなく、だからといって俺は悲観していない。  そりゃ温泉が本当に見つかればいいと思うが、ぶっちゃけ見つかんなくても構わねぇ。  人間が生存し続けるにはどうすればいいか、俺はこの半年で理解できたのだから。  夢、高額配当、ぬくもり。  何かを追い求め続けることでしか生きられないと、温泉は俺に教えてくれたのだ。  ありがとう、競馬。  ありがとう、スコップ。  ありがとう、両親。  俺は温泉を掘り続けます。  死ぬまで。  ありがとう、温泉。