青と白  あの日の空は、青かった。  君の肌は、白かった。  最近になって、あの日のことをよく思い出す。  夏のあの日、雲ひとつ無い夏の空。  グラウンド脇の坂道、自転車を引く学生服の女の子。  短いスカート。白い足。  同じく僕は自転車を引いて、あの子の後ろを歩いてた。少し屈みながら。下着を見たいと思って いた。  強く思う。  どうしてあの日の僕は、君の下着を見ようとだけしていたのか?  会話するにしても、離れてじゃなくって、もっと近づいていって、顔を見ながら話せばよかった じゃないか。あの輝く黒い瞳に吸い込まれそうになりながら――  もっと近くで話して、想いを伝えて。どうしてそうしなかったのか。  僕は臆病だ。臆病だった。  好きな人に「好きだ」と言えない、そんなチキンだった。  僕は自分に負けた。その結果、今の僕には後悔がへばり付いている。  想いを伝えられなかった――「好きです。付き合ってください」――そう言えなかったことが、 痛みとして心に残っている。それはさながら、掌に刺さった見えない細い棘のような。  そして、決意した。  このままでいるのは、吐気がする。  だから僕は告白する。あの子に。 「今さら」――彼女はそう笑うだろうか?  もう、全ては遅いのだろうか?  …もしそうだとしても、このままでいるのは耐えられないのだ。  あの日、照りつける太陽と青い空の下、君の白い肌が似合った。  きっと下着も白かったのだろう。見ることは、出来なかったけれど。